ジーンズ作りを通して私が、デニム生地に関して教わり、学び、勉強した事を皆さんと共有したいと思います。
今回は、キバタのデニムについて。
まず、「キバタ」とは整理加工されていない生地の事をいいます。
整理加工とは、縮み、ねじれ防止や毛焼きなどの加工です。
キバタのデニムを一言で表すと「とても不安定な生地」
これは、製品としてのジーンズを作る時、大きなデメリットです。
デメリットを一つずつ見ていきましょう。
大きく縮む
キバタのデニムは、水を通すと大きく縮みます。
bridgeで使う生地の場合、タテに約10%、横に約5%も縮みます。
これだけ大きな縮率なので、保管しておくだけでも湿気などによって縮むかもしれませんね。
しかも織り上がった一反の中でも縮率にブレがあるそうです。
これは、狙ったサイズのジーンズを作ろうとした時、大きなデメリットです。
縮みの不均一な生地で、均一なパンツは作れませんよね。
※青い線が洗い前(中の線は耳のライン)。赤い線が洗い後(中の線は耳のライン)
大きくねじれる
キバタのデニムは水を通すと大きくねじれます。
ヴィンテージのリーバイスのミミのラインが曲がっているのは、キバタのデニムで作られてのが原因の一つ。
ねじれるという事は、パンツのシルエットが崩れるという事。
素人考えですが、ねじれを計算してパターンを作るなんて、なんだか複雑です。
一般的には、「脚がねじれたパンツ=不良品」でしょう。
※左足のミミのラインに注目。
毛羽立つ
キバタは洗うと、生地の表面がかなり毛羽立ちます。
(私の手に入れたキバタのデニムは、未洗いの状態でも、かなり毛羽立っていました。)
一般的には、表面がツルっとしていて綾目がキレイに出ていた方が、いい生地に見えるでしょう。
※左が整理加工されたもの。右がキバタ(未洗い)。
しかし・・・
このように、キバタのデニムでジーンズを作るのは、デメリットが多いです。
ザイズ表記通りにならない。ねじれて不格好でシルエットが崩れる。毛羽立って見た目が悪い。
「キバタのデニムにニーズがない」のは当然ですね。
しかし、このデメリットをそのままメリットと感じる人たちがいます。
denimbaをご覧のみなさんも、きっとそうですよね。
「味があっていいじゃない!!!」
こう思える人は、世間一般では「変な人」かもしれませんね(笑)
次回は、デメリットを解消するための「整理加工」についてご紹介したいと思います。